こんきちの雑記帳

アカペラ・ルパン・Mac そして日々の出来事…

■ アカペラ楽譜のネットショップ【こんきち堂】オープンしました ■
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「こんきち堂」開店顛末

アカペラ楽譜ショップ「こんきち堂」を開店するにあたって、色々調べて判ったことや、開店までの顛末などをまとめておきたいと思います。長いので興味のないかたは読み飛ばしてください。


●────────────● 著作権使用料について ●────────────●


日本曲の場合は、歌詞・曲込みで 定価×発行部数×10%

外国曲の場合は、歌詞・曲込みで 定価×発行部数×20%
ただし、歌詞・曲それぞれに最低使用料金が定められていて(相場は大体 歌詞・曲 それぞれにつき 5000円ですが、曲によってはもっと高いらしいです)、左の計算で算出された金額が歌詞と曲を併せた最低使用料金(相場通りの場合 10,000円)を超えない場合、その金額を支払わねばなりません。

以上は楽譜を印刷販売する場合です。

PDF での販売も考えたんですが、その場合の著作権使用料金は 定価×ダウンロードされた回数×10%(外国曲の場合は 20%)で、月の合計が 5000円を下回る場合には月に最低料金5000円を支払う必要があります(曲毎ではなくサイト毎ですが)。つまり全く売れない月でも 5000円支払わないといけないんです。印刷の場合は、申請発行部数分の使用料を先払いしておいて、何年もかけてじっくり売ればいいんですが、ダウンロードの場合は最低月々 5000円かかるので、この時点で選択肢から外れました。

しかも「注文があったらメールに添付して送る」という形式での販売は、販売記録紛失・改竄の可能性があるので認められない、とのことでした。印刷の場合だって、発行部数の記録改竄なんてやろうと思えば簡単に出来ちゃうのになあ。

ダウンロード販売のサイトを作るのは、自分にシステム構築の知識が不足しているので、結構骨が折れそうです。http://www.digimarket.co.jp/ ←こういうところを使った方が良さそうな感じですが…でも Mac だとダメみたい…(ToT) それに余分な経費もかかります。

PD 曲でやるならジャ○ラックは関係ないので、メールに添付して販売でも問題無さそうです。でも無断コピーが増えそう…


●────────────● 割引販売について ●────────────●


無断コピーを抑止する意味でも、たくさん買って頂いた方には特典を設けたかったのですが、当初ジャ○ラックに相談したときには、セット割引というのはつまり定価が2種類あるということだから、定価毎に著作権使用の申請をしなければならない、と言われました。そうすると外国曲の最低使用料金が2倍になるので、色々試算してみた結果、やっぱ無理だな…と諦めかけたんですが、念のためもう一度確認してみたら今度は別のひとが出てきて、定価よりも安く売る分には問題ないですよと言われました。

ダメって言われて色んな選択肢をモノッスゴク思い悩んだのに〜。その間、ショップサイトもあれこれいじくり回して大変でした。無駄な時間。でもまあ最終的に割引販売できて良かったです。

余談ですが、ジャ○ラックのひととはこれまで電話で4人とお話をしましたが、そのうちお1人は非常に丁寧に感じよく説明をしてくれました。残りの3人はすべて高圧的で、相手を見下した様な、犯罪者扱いしたような話し方でした。感じのよかったひとの名前を聞いておけば良かった…と後悔しています。


●────────────● 耳コピ譜について ●────────────●


ジャ○ラックのひとに依ると、完全耳コピの楽譜を販売するのは、著作権使用料さえ支払えば特に問題ないとのことでした。ただし、このとき電話に出た男性は話がなかなか通じなくて頼りない感じだったので、この点についてはまた別途確認する必要があるかもしれない、という感触でした。

私は耳コピという作業がそれほど好きではないので、人に頼まれて耳コピすることは無いと思うけれど、自分が歌いたくて耳コピしたものは、お裾分けしても良いかも、と思いました。私のアレンジなんかよりも、既に世に出ている有名バンドの耳コピ楽譜のほうが、きっと需要ははるかに多いだろうと思いますです。

ただ、ジャ○ラックで問題なくても、アレンジャーの身になってみたら、自分のアレンジが勝手に耳コピされてそれが商売で売られていたら、気分悪いんじゃないかなあ、という気もします。身内で使うとか、友人にあげるとかなら問題ないでしょうが。なので、もしも販売するとしたら、アレンジャーさんに直接連絡をとって承諾取り付けを試みることになるかと思います。緊張するけど。


●───────────● 不正コピー防止について ●───────────●


これについては色々考えました。セット割引もその一環ですが、バラ売りする場合には何故バラで欲しいのか理由を教えて貰おうか、とか…でもそれはやっぱり感じ悪いだろうと思って、マイミクのまるさんから教えて頂いた、コピー防止用紙を使うことにしました。1部のみの注文の場合にはコレに印刷して、2部以上なら通常の用紙に印刷します。

準備段階からこういった用紙を使うことを検討してはいたんですが、私が探したときには楽譜用の厚い用紙が見つからなかったのです。まるさんに感謝感謝。

サンプルを取り寄せて試しに印刷してみたら、やはり多少譜面は見づらくなるものの、判読に困るほどでも無さそうだったので、使用に踏み切りました。この方法でも多少感じ悪いかなとも思いますが…すんません。こんきちのお友達のかたには、申請して頂ければ1部の注文でも普通紙印刷に対応致します。


●─────────● SibeliusMusic.com での販売について ●─────────●


Real Group も使っている楽譜販売サイト「SibeliusMusic.com」というのがあります。Scorch という形式で出力された楽譜をオンラインで視認できて、お金を払うとオンラインで印刷できるようになるという方式です。しかも自分の好きな様に移調もできたりするし(たくさん移調すれば譜ヅラは崩れちゃうけど)、MIDI での確認も出来るし、便利だなーと思って詳細を聞いてみました。

 ◆ Sibelius の通常版を購入すれば、付属のプラグインで Scorch 形式のファイルを
   エクスポートすることが可能。
 
 ◆ Scorch 形式のファイルの販売は、個人のサイトでは許可されてない。
   Scorch ファイルで売るならば、SibeliusMusic に委託しないとダメとのこと。
 
 ◆ SibeliusMusic.com に販売を委託する場合は、 売上金を Sibelius 側と
   半々に折半する形となる
 
 ◆ SibeliusMusic.com 側では特に著作権に関する手続きは行っておらず、
   海外サイト故決済もドル建てになり、また
   著作権関連をきちんとしようとするとややこしいことになる

ジャ○ラックが許諾している販売範囲は国内だけですからねー。海外サイトでの販売は無理そうです。Public Domain の曲ならばできそうですが、Sibelius は6万ちょっとしますし、使い慣れた Finale から移行するのは手間も大変だし、Scorch での販売はやっぱり今後も考えにくいかな。

Finale も同じようなことを始めてくれれば、将来 Public Domain の曲をダウンロード販売してみたいかも。でも Sibelius は楽譜のスキャン機能も優れてるって言うし、興味はあるんですよね。Finale で作った楽譜をプリントして、そのまま Sibelius に読み込んで加工したりできないかな。うぅぅひょっとして Sibelius、そのうち手を出してしまうかもしれません…(^_^;

参考サイト

  SibeliusMusic.com
  Sibelius4 日本語版
  Finale


●──────────● 開店までの顛末 ●──────────●


アニメ・アンソロジーの出版からお話しますと、もともとアレは自費出版をしようと思っていました。当時から私はサニーサイド・ミュージックから浄書のお仕事を頂いていたので、印刷会社や販売ルートを紹介して貰えるかな、と思って社長さんに相談してみたら、正規に出版しようというお話を進めてくださったのです。ありがたや〜。実績がないので、トライトーンのちづるさんにアレンジチェックを受けて、という条件でした。そんなワケで奥付に「協力:松永ちづる」の表記があります。

2000年にアニメ・アンソロジーが世に出た後、知らない人が「ルパン歌ってます」と掲示板で報告してくれたり、自分が聞きに行ったイベントで思いがけず自分のアレンジを歌ってくれているバンドに出会ったりして、自分のアレンジが世の中に出回っていることをとても嬉しく感じていました。翌年、それまで So-net のユーザースペースに置いていた自分のサイトを、独自ドメインを取得して移転しましたが、「konkichi.com」という会社のようなドメインにしたのは、このころ既にネット販売を考えていたからでした。結局お店は別のところに設置しちゃいましたけど (笑)

計画はちょっとずつ練っていたのですが、通信販売をするなら拠点の住所を曝さなければならないとか、小ロットで印刷屋に頼むと印刷費が凄く高くなってしまうなど、色んなことでなかなか先に進みませんでした。

そうこうしている間に、サイトのほうで公開している多重録音の音源を聞いたかたから「楽譜を譲ってくれませんか」というメールを時々頂く様になって、正式に販売できたらいいなあ、という気持ちがだんだん強くなってきました。これにはフクザツな思いがあって、自分のアレンジした曲をほかの人が歌ってくれるのは嬉しいのだけど、誰にでも「ご自由にどうぞ」と譲り渡してしまう気持ちには今ひとつなれず(←ケチ)、かといってお金を頂くのなら著作権使用料金の方面をきちんとしたい、という思考過程を辿りました。

去年、値崩れしてきたレーザープリンターをゲットしまして、ようやく計画が現実味を増してきました。B4 以上に対応してないと意味がないので、初期投資としてはかなりの金額ですけど、印刷のロット数とかで悩まなくて済むのは助かります。

プリンタ購入後、いよいよ実際のお店のシステム選定に取りかかりました。楽天出品を考えたり、ショッピングカートのサービスを探し始めましたが、結構お金がかかるところが多い…。で、レンタルサーバ「ロリポップ」のユーザが無料で使える「Color Me Shop mini」を使う方向で準備をすすめていましたが、どうも使い勝手がイマイチで、ここでまた頓挫。その後いろいろ探して無料配布の CGI を見つけて、今の様な形に出来たのでした。

今使っているカートの CGI は、自分で作った HTML ページからカートに商品が入れられるので、レイアウトが好きな様にできてとても気に入っています。注文確認メールも自動的に送れますし、基本的なことはだいたいできますので非常に重宝してます。php ファイルをいじって細かい点を修正したり自動送信メールの体裁を見やすい様にいじったりなどして、かなり時間をかけましたが楽しい作業でした。

楽譜送付のための封筒や、楽譜を印刷するための用紙も用意して、表紙等をデザインして体裁を整えて、をた録をまだしていなかった曲を録音して、最終的に楽譜を修正して、受注管理のシステムを整えて…と、なんだかんだやることがいっぱいあって予想よりも押せ押せになってしまいましたが、4月29日、ようやく開店できました〜。


●───────────● お店のコンセプト ●───────────●


そんなわけで、店の経営者としては甚だオキラクで申し訳ないんですが、既に購入してしまったプリンタなどの設備投資は済んだモノとして (笑) 回収しようとは思っておらず、変動費とのバランスでひどい赤字にならなければいいか、というくらいのスタンスです。ただ、最近サニーサイドから新規のお仕事が来ない状況になってしまったし、体調の関係等々で東京のバイト先にも長らく行っていないので、生きる張り合い (笑) が欲しいし、多少の売り上げがあってそれがアレンジ意欲増強にもつながればいいな、と思っています。

「アニメアンソロジー」は現在入手困難な状態で、再販の可能性も低いです。出版に際して私は浄書料金を頂いただけで(逆にいうと出版して頂いただけでも有り難いのに、浄書料金まで頂いちゃいました)、アレンジをサニーサイドに売ったり契約したりしたわけではなく、その後は売れ行きに比例した還元等も特にありませんでした。そこでサニーサイドの社長さんに相談したところ、「こんきち堂」でバラ売りしても全く構わない、とのことでしたので、追々アンソロジーのレパも出していこうと思います。

私はどうもきまぐれで(というか多分能力不足で)、「歌いたい」と思った曲しかアレンジできないものですから、アレンジ依頼は受け付けられないと思います。必ずしも気に入っていただける自信もないですし、私が歌いたいと思ってアレンジしたものを提示して、「もし気に入ったものがあったらお裾分け」というスタンスで行きたいと思います。

先輩のアカペラ譜ショップ「アカペラ本舗」さんでは、委嘱アレンジも受け付けておられます。アレンジャーのなかちょさんは、理論もテクニックもしっかりした信頼のおけるかたですので、委嘱は是非なかちょさんのほうへ!(別に回し者ではないです (笑) )


●───────────● というわけで ●───────────●


つたない零細ショップですが、どうぞよろしくお願いします。あんまり宣伝するのも気が引けるなあ、と思っていたんですが、かといってあんまり全然注文がないのも寂しいので (笑) よろしかったらお友達にクチコミや Blog なんかで紹介してやってください。(^^ゞ

そうそう、KAJa! のパンフレットの広告スペースを買って貰えませんか、という話を頂いて、広告を載せて頂くことにしました。KAJa! にいらっしゃるかたはチェックしてみてください (^o^)
category:Web関連  コメントを読む・書く (2)

Comments

えー今頃ですが、開店おめでとうございます。
まだちゃんと見てないので、音源から攻めてみようかなと。

しかし耳コピ譜売っていいってのはすごい話だなぁ。
なんとも納得のいかない話。
やはりアレンジに関しては音楽としての地位が低いのかしらねぇ。
2007/05/07 18:38【 ぎだ 】
≡★ ぎださん ★≡

 ありがとうございます! 音源…ひゃーびくびく。
 あんまり下手くそなんで、公開してからもちょっとずついじってます。
 さっきも少し録り直しちゃった。てへへ (^_^;

 アレンジは基本的に保護の対象じゃないですからねー。
 そもそもジャ○ラックには、アレンジを管理する能力なんて無いのでは?
2007/05/07 19:43【 こんきち

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