こんきちの雑記帳

アカペラ・ルパン・Mac そして日々の出来事…

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松岡由美子の世界を歌う

スタジオアルシス主催の松岡由美子さんのワークショップに参加して来ました! 色々メモしておこうと思います。前回の様子はコチラ


■ まずは「Scaborough Fair」をじっくり。

由美子さんの「Scarborough Fair」は歌アタマのキーは Fm なんですが、ドリアンモードで書いてあるので調号は Cm になっている…つまり D♭の♭が落ちている。そうすると普通の短調では IV コードがマイナーになってしまうのをメジャーに出来るので「私は好き♪」と仰っていました。

モードについてはこちらをご参照。

私はモードについての知識は一応あったのですけど、どのスケールが何モードだったかも覚えてなくて、そしてこれは一体どういうときに使えばいいんだろう? というのが全く判っていませんでした。こうやって実際の曲で楽譜を見ながら説明を受けて体感するとナルホドと思います。知識って、体感して納得しながらじゃないとなかなか身につかないんですよね…

取り敢えず、ドリアンモードは私も好きだなと思いました(笑)

由美子さんは 6/8 拍子がお好きで(実際 6/8 多いですよね!)、利点はリズムに変化をつけやすいこと、とのことでした。確か 4/4 の「タタタタ」という4つの音を 6/8 において同じ音数で「タータタータ」というリズムに置き換えることができる、という説明だったように思いますが、この辺はちょっと確信ナシ。※ 自分的には6つの8分音符を2つずつに分けたり3つずつに分けたりできるのも 6/8 の面白いところだと思います。

※ 6/13 訂正

由美子さんから直々にご指摘頂きました!

《6/8が面白いのは3/4と同じ拍数(八分音符が6つ)ながら片方は付点四分音符が基本の拍、もう一方は四分音符がそれになるというところで、リズムを混ぜることができるという点です》とのことで、私自身が「面白いところ」として上げたのと同じ理由でした。


ここで、ドレミファソラシドという階名を半音上げたり下げたりするときに母音を変えて言い換える方式があることを教わりました。ドリアンモードではミとシが♭になるのですが、ミは「メ」、シ(ti)は「テ」になるので、「ドレメファソラテド」になるのだそうな。

これについては Wikipedia にまとめがありました。

普通のマイナースケールは「ドレメファソレテド」になりますが、日本語だと「re」と「le」が同じになっちゃうのでややこしいですね (^^;

この曲はもとも合唱用に divisi を使って書いていたのを出版を機に5声に書きなおしたものなので、所々妥協点があるそうで(笑)例えば 27ページの 84→85小節目へのテナーの動きなどは、飛びすぎてしまっているなあと思いながら書かれたそうです。息継ぎも1パート1人だとけっこうキツイです。


■ 「Pure Imagination」をさらっと。

本当にさらっとでした(笑)

これは「チャーリーとチョコレート工場」のなかの曲で、「truely wish to」のあとの2拍の休符は子どもたちの「ハッ」という驚きを表現したもの、とのこと。

【追記】これは始まりのコードが IV で、しかもテンション乗せまくりというのがポイントのひとつ。そういえば、「Lovin' You」なんかも IV 始まりですよね。カッコイイです。

それと、D♭というキーが好きだとも仰っていました。確かに、多い多い! (^o^)


■ 「My Old Kentuchy Home」をさらっと。

これも割とさらっと。

これはかなりコテコテに書かれていますが、由美子さんがバークリーで学んでいるときに書かれたアレンジで、この曲がきっかけで Vox One が結成されたそうです!


■ 「Both Sides Now」

こちらもサラっと。

3拍子と4拍子がよく入れ替わるアレンジで、「Both Sides」という言葉からこの「3拍子と4拍子の両面」というアイディアが浮かんだとのことでした。

この曲は、和音は難解ではないのですが、初見で歌うとリズムにちょっと苦労します! でもベルトーンが決まるととても気持ちいいです。

ところで、日本で言うところの「ベルトーン」はバークリー界隈では「Pyramid」というみたいです。しかし、上から降りてきたり、上下しながらパラパラ鳴らす時もピラミッドというのでしょうかね? これは次回訊いてみたいと思います。 上から降りてくるときは「Cascade」というようです。過去に由美子さんの WS に一緒に参加した友人が教えてくれました。私も一緒に聞いていたはずなのに忘れていました (^^; 一方向でなくパラパラと Pyramid & Cascade がごちゃごちゃになった(笑)パターンは特に名前がないようで、由美子さんもご存知ないとのことでした。

ついでに。アウフタクトのことは英語では「ピックアップ(Pick up)」という模様。


■ 「And So It Goes」を少し。

ビリー・ジョエルの名曲…といっても私は原曲は知らなかったんですが(爆)「Both Sides Now」と同じく、由美子さんの合唱アルバム「To Every Thing There Is a Season」に収録されてます。



7〜8人必要な divisi のあるアレンジ。とても素敵! ずっとソロ+バックコーラスの曲。

「Both Sides Now」とコレは楽譜を返却しなければならなかったので、なにかメモったかどうか忘れてしまいました (^^;


■ 発表会

「Pure Imagination」「My Old Kentuchy Home」「Both Sides Now」「And So It Goes」をさらっとみんなで歌った所で自分がなにを歌いたいか決めて、曲ごとに小グループに分かれて練習、そのあと前に出て発表会をしました。

私は「My Old Kentuchy Home」組。この曲はもう音がコテコテで凄くかっこよくて、自分所属のどこかのグループで歌ってみたいなあと思いました。

由美子さんが各グループを回って少しずつ指導してくださって、この時間が楽しかったわ〜〜〜。

発表会はどこも皆様お上手でしたが、特に「And So It Goes」が良かったですねえ。普段アルシスで指導をされている松原ヒロさんのソロが素敵でした。

これで取り敢えずワークショップはおしまい!


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休憩の後は「東京ジャズコーラス」。こちらはゆくゆくは対外的に歌うグループを結成することを目標に毎月開催予定で、普段は松原ヒロさんが指導されてますが、単発での参加もオッケーだそうです。今回は由美子さんが引き続き指導してくださいました。

まずはイヤートレーニング(Voice Leading)から。これが面白かったんですよ!

最初にドレミファソラシド、を根音にして、スケールノートから4つの音を重ねて和音を作っていきます。(ドレミファソラシド = d r m f s l t d )

根音をスケールノートに沿って1音(2度)ずつ上げていくのを「Cycle 2」、下げていく(つまり7つずつ上げていく)のを「Cycle 7」と言います。



これを、前の音から動かないパートを作るように、また可能な限り動きが少なく滑らかな繋がりになるように転回形に変えていくと、このようになります。



そして4つずつ上げていくのが「Cycle 4」。これはドミナント・モーションになるので美しいです。



これにテンションを足してみると、こうなります。緑の部分が 9th に変えられた部分です。



そしてさらにコレをいじるとこんな感じ。オレンジの部分が新たに変更されました。だんだん悶えてきます(笑)



このレッスンはなにが楽しいって、ボードに書かれた「 d m s t 」「 d r f l 」とかを見ながら4パートで一斉に音を出して動いていく快感。こういうのは、例えばひとりでピアノで鳴らしてみるのとは違う楽しさがあるんですよね! こういうのをみんなで一斉に体感していけるのは本当に楽しいです。

以前やったリズム練習とかもそうなんですが、みんなで受けるワークショップならではの楽しみっていうか、醍醐味だと思います。

この遊びは、スタートの和音を転回形に変えて試してみるとまた新たな感覚が味わえて楽しいとのことです。いいすねコレ!

ちなみに、Cycle 6 は前の音との共通音が多くなりすぎてつまらないんだって〜〜(笑)こちらも訂正(笑)面白くないということではなくて、「Voice-leading をすると動きが減るけど、I-VI-IVとかはよく使われるパターンです!」とのことでした。パッフェルベルのカノンとかもそうですね。


■ 「The Water is Wide」

イヤートレーニングのあとは、前半の WS の続きみたいな感じでした。参加者は、半分くらい入れ替わったのかな…? 少し人数が減りました。

この曲の「由美子さんの好きポイント」は7小節目の 1・2・4 のオープンボイシングだそうです。ベースの E の上で G・D・A と 5度ずつの開きで鳴っています。素敵♪

もうひとつの好きポイントは「There is a ship」の「ship」のところ。3拍目がベースから G♭・D♭・A♭・E♭・B♭ と、見事に 5度の開きで積み上がっています。

あ、それからみなさん、47小節目の「how」は 2・4・5 も4分音符にして「I」を4分音符で言い直すように訂正して、とのことでしたよ!


■ 「Anni Laurie」

これは最近カワイ出版から出版された「アカペラアンサンブル The Water is Wide」のために、曲を指定されて書き下ろしたものだそうです。由美子さんご自身がまだ歌っていないため、曲想も試行錯誤の途中とのことでした。

うう、これは MP3 レコーダの電池切れで、最後まで録音できませんでした。せっかく由美子さん指導による本邦初演だったのにぃ。

途中でちょっと意外な転調があるんですが、「これは自分でもどうしてこういうところで転調しちゃうんだろうと思うんだけど、でもそうなっちゃうの。そうなっちゃってもいいやと思って転調しました」と仰ってて、ツボに入りました。

「Anni Laurie」も凄く歌ってみたくなりましたが、これは合唱団とかで歌ったほうがいいのかな? とも思ったり。


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以上! 書き漏らしもたくさんありますし、もしかしたら認識が違っているところもあるかもしれませんが、残しておきたかったので書いてみました。


アレンジに関して… 私はベースにルート音を当ててしまうことが多いのですが、転回してベースに中の音を歌わせると変化も付けられるし、ルート音だと音が飛んでしまうところを、なめらかな動きにすることができるので、もうちょっと冒険してみようかと思いました。それと、クローズドで書いてしまうことが多いので、今度はオープンを気にかけて使ってみようかと。
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